刑事弁護について

「なぜ悪人を弁護するのか?」
 
弁護士を職とする者であれば,一度は受ける質問でしょう。
刑事弁護制度は歴史的経緯を踏まえたものであり,また,人権,国家,刑罰といったものに対する思想や考え方を背景とするものですから,その答は弁護士によって様々ですし,どの答も一言で表せるものではないでしょう。
それでもなお,私の考え方を強いて一言で述べるとすれば,「悪人をも弁護される,いわんや善人をや」といったところでしょうか。
どんな凶悪犯罪を犯した者でも,裁判を受ける権利が保障され,弁護士による弁護を受ける権利が保障されています。
その裁判は公正なものでなければならず,その弁護は有能かつ熱心なものでなければなりません。
かかる権利が極悪人ですら十分に保障されるのであれば,善良な市民にはなおさら厚くその権利が保障されることになると思います。
極めて単純化した考えですが,私の刑事弁護の原点はこの単純な考えの中にあります。
現在の世の中では,刑罰権の発動こそが,市民にとって最もリアルで差し迫った,国家による直接的な人権侵害の危険を孕んだものでしょう。
この刑罰権の発動を謙抑的であらしめること,これが刑事弁護において私が常に心掛けていることです。(丸山和大)
 
 
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